ステマブログと言われないために気をつけるべきこと
ポレット(Pollet)記事大量発生事案
3月に陸マイラー界隈で、ハピタスのプリペイドカード「ポレット(Pollet)」に関する記事が大量に投稿され、ちょっとざわついたことがありました。
内情はテラヤマアニさんが暴露されていましたが、どうやらハピタスからマイラーさんに対して、ブログ記事掲載の依頼があったようです。
これが本当だとすると(本当だと思いますが)、私の理解ではステルスマーケティングにあたりうる事案ではないかと思います。
ステマブログとそうじゃないブログの境目は?
ステルスマーケティングとは
Wikipediaによれば、定義はこんな感じです。
ステルスマーケティング(英: Stealth Marketing)とは、消費者に宣伝と気づかれないように宣伝行為をすること。略称はステマ。
「消費者に気づかれないように」というところがステルス(隠密、こっそり)ということですね。
ペニーオークション騒動
数年前になりますが、複数の芸能人がペニーオークション(ペニオク)を勧めるブログを書いてお金をもらっていた、という炎上事案がありました。
ステマを直接規制する法令上の定めは今のところない
現状、ステマをしたところでストレートに何か法令に違反するか、というと、そういうわけではありません。
(一応、ウソの広告ということになると「人を欺き、又は誤解させるような事実を挙げて広告をした」として、軽犯罪法違反の罪になる可能性はゼロではないようです。なお、この罪は広告主が主体ですが、教唆・幇助=そそのかしたり手助けした場合も罰せられます)
法令違反リスクというよりは、レピュテーション(風評)リスクという側面の方が強いかと思います。
なお、2011年に消費者庁が「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」というガイドラインを公表しました。
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/111028premiums_1_1.pdf
が、このガイドラインは、「自分で書いたら優良誤認表示・有利誤認表示になるようなことを他人に依頼して書かせても同様に景品表示法違反になりますよ」ということを示しているだけで、「どういう場合がステルスで、どういう場合がステルスにあたらないか」ということには何も触れていません。
WOMマーケティング協議会のガイドライン「WOMJガイドライン」
法令に定めがない、ということで、他に何か基準を示してくれるものはないか、ということですがクチコミマーケティングを手がける会社等が設立した「WOMマーケティング協議会」という団体が、ガイドラインを公表しています。
このガイドラインは、WOMJ会員社のマーケティング活動を自主規制するという性質のものではありますが、ステマかステマじゃないかを分ける基準を示していて、参考になります。
WOMJ会員社からの案件でないとしても、ブロガーとしては「WOMJガイドラインに準じた記事を掲載している」ということが言えます。
具体的にどうすべきか、ということですが、キーワードは「関係性明示」です。
VI. 関係性明示
情報発信者に対し、WOMマーケティングを目的とした、重要な金銭・物品・サービス等の提供が行われる場合、マーケティング主体と情報発信者の間には「関係性がある」と定める。関係性がある場合には、その関係性は情報受信者が容易に理解できる方法で明示されるべきである。
関係性がある場合には、情報発信者に対し原則として関係性明示を義務付けなければならない。義務付けることが極めて難しい合理的な理由がある場合には義務付けなくてもよいが、その場合でも関係性が明示されるよう最大限の努力を行わねばならない。
関係性の明示の際には、WOMマーケティングのマーケティング主体の名称と、情報発信者への金銭・物品・サービス等の提供の有無は示されるべきである。金銭・物品・サービス等の提供の内容についても、詳細に示されることが望ましい。
WOMJガイドラインには解説がついていて、かなり具体的な表記まで踏み込んでいます。
例:
A社が自社商品Bについての推奨コメントを情報発信者C氏に依頼し、C氏がその対価として原稿料2,000円を受け取る場合。
望ましい表記:
A社の商品Bについて、原稿料2,000円を頂いてコメントしています。
望ましい表記:
A社の商品Bについて、謝礼を頂いた上でコメントしています。
望ましい表記:
A社の商品Bのモニター企画に協力しています。モニター企画についてはこちらのリンク(http://www.xxxxx)を参照ください。
※リンク先にモニター企画の内容として謝礼提供が記載されている。
望ましい表記:
(A社より謝礼あり)。
許容する表記:
A社の商品Bについて、A社より<金銭・物品・サービス等>の提供を受けています。
許容する表記:
A社の商品Bについて、PR活動に協力しています。
※「PR」表記有り。
「A社のPR活動に協力している」ということが記事中に記載されていれば、読み手としてはA社から依頼を受けて書かれた記事だということが認識できるので、「ステルスではない」といえるわけです。
関係性が明示されていれば、読み手は依頼を受けずに自主的に書いている記事と区別することができます。
依頼を受けて紹介記事を書くなら関係性の明示は必須
ハピタスのPR担当者は、クチコミマーケティングに詳しくなかったのかもしれませんが、ブログを中心としたクチコミでPRしようという場合は、ステマだという非難を受けるリスクを極力小さくするために、ブロガーに対してPR表記を促すべきです。
ブロガーの方も、ステマとのレッテルを貼られないよう、誰かから依頼を受けて記事を書く際には関係性の明示をきちんとするというのが大事かと思います。