甲子園のマモノは仙台育英に味方した。9回2アウトからの逆転サヨナラ劇。
大会11日目第4試合、大阪桐蔭vs仙台育英の古豪対決。
なんだか今大会は早い段階で常連校が対戦する展開が続いている気がしますが、
今日の第4試合は春夏連覇を狙う大阪桐蔭と仙台育英がベスト8をかけて相まみえました。
両チームともにすばらしい守備を見せ、緊迫した展開で試合は進みました。
8回、ここまで22イニング無失点を続けてきた仙台育英・長谷川投手から大阪桐蔭がついに1点を奪い、均衡を破りました。
大阪桐蔭1点リードで迎えた9回裏ツーアウト。
絶体絶命。ここでマモノが動き出す。
9回裏、2死走者なしから5番杉山がヒットで出塁。
前の回に一度刺されていたにもかかわらず、絶対アウトになってはいけない場面で果敢にスタートを切り、見事盗塁を決めました。
6番渡部はフォアボールで1・2塁。逆転サヨナラのランナーが出ました。
しかし、7番若山の打球はショートへの弱いゴロ。
これで万事休す・・・と思いきや
ショートは一塁へランニングスロー。
送球を受けたファーストの足がベースから若干離れており、
ベースを踏むよりバッターランナーのヘッドスライディングが一瞬早く、セーフの判定に。
タイミングは完全にアウトだったので、テレビで見ている側も一瞬何が起きたかわかりませんでした。
記録はショートのエラーということで、悪送球という判断のようです。
ただ、送球が逸れたと言ってもベースについて伸びれば取れる程度だったように思います。
もしかしたら、2塁フォースアウトの場面だったので、ファーストはショートが2塁に送球すると思ったのかもしれません。
野球の神様か、甲子園のマモノがくれたチャンス。
ゲームセットのはずが、2死満塁で試合続行となり、場内は騒然。
おそらく一度気持ちが切れてしまったであろう大阪桐蔭ナイン。
逆に九死に一生を得て勢いに乗る仙台育英ナイン。
途中から出場した馬目がセンターオーバーの2点タイムリーヒットを放ち、仙台育英が奇跡の逆転サヨナラ勝ちを収めました。
仙台育英の佐々木監督は試合後のインタビューで、「9割諦めてたけど10割は諦めてなかった」と言っていました。
まさに勝負は下駄を履くまでわからない、といった試合でした。
結果的には、大阪桐蔭の強力打線相手に、エース長谷川を中心に9回まで1失点で凌いだ守りが勝ちにつながったのではないかと思います。
敗れた大阪桐蔭にはつらい終わり方でしたが、攻守にすばらしいプレーを見せてくれました。
これが決勝戦でもおかしくないような戦いだったと思います。
勝ち運は持っている。東北勢悲願の初優勝まであと3つ。
球史に残る逆転劇でベスト8へ進んだ仙台育英。
2年前の夏は佐藤世那(現 オリックス・バファローズ)、平沢大河(現 千葉ロッテマリーンズ)、郡司裕也(現 慶應義塾大学)を擁して準優勝に終わりました。
東北勢は春・夏あわせて、全国高校野球選手権大会で一度も優勝したことはありません。
悲願の初優勝に向けて、この勢いで突き進んでほしいと思います。